北海道日記

九月初旬。まだ夏の残暑の残る頃。就職活動に振ら
れ続け半場自暴自棄になっていた僕と傷心気味の友
人は傷心旅行と題して北海道旅行にでかけた。青森
からフェリーに乗り函館に着く。フェリーから降り
るとそこは・・・なんて劇的な変化はなかったけど
「ようこそ北海道へ」という看板を見るとあーそう
なんだなという実感がわいてくる。
函館では気持ちいいくらい下が見渡せる坂に歓声を
あげ、札幌の夜景には思わずため息をもらした。
驚きや感動の中旅行は進んでいった。僕は「風雨来
来」というゲームで北海道の前知識があった。
それに感化されてか僕の目的は摩周湖だった。
今回はその摩周湖と自分の中でいい意味で裏切られ
たオンネトーについて書こうと思う。


北海道旅行二日目。きつい砂利道を越えると小さな
駐車場に着く。そこから少し歩くとオンネトー湖だ。
オンネトー湖は時間によって色が変わる神秘的な湖だ。
たぶん日差しの状態によるものだと思うけど詳しい
ことは僕にはよく分からない。残念ながら僕らが
オンネトー湖についたときには小雨が降っていた。
白樺の木々の森を進んでいくと目の前にオンネトー湖
が広がった。

神秘的だった。

木々は小雨に濡れしたたかに滴を落とす。
雨粒は湖に吸い込まれ小さな波紋を広げる。
そして離れるに連れ湖は青さを増していく。
思わず息を飲んだ。
この景色はこの雨だからこそ良さが出た気がした。
静かな中雨音だけが響いていた。


三日目。ようやく雨が通り過ぎ期待の摩周湖へ。
実はこの旅行、出発した日をあわせてはじめて
この日太陽が顔を覗かせたのだ。青空が広がり、
光と陰ははっきりとした輪郭を見せた。今まで
通った道も違った顔を見せる。
摩周湖は山道を登っていくことでたどり着くこと
ができる。登っていくとは反対側には屈斜路湖と
地平線が望めた。摩周湖は第一展望台と、第三
展望台がある。降り立ち、木造の階段を上ると
そこが展望台だ。
湖は空の深い青を映し出していた。
空の青、湖の青、どちらが濃いだろうか。
中ほどにはぽつんと小島が浮かんでいた。
あまりにも小さな存在、そして確かな存在感。
僕にはこの小島は摩周湖の良さをを際立たせて
いるように思えてならなかった。


かなりの無計画で旅立ったこの旅行。
そんな旅だから楽しめなかった部分がある。
そんな旅だから楽しめた部分がある。
北海道はどんな者にも変わらず
同様に何かを与えてくれるはずだ。
包み込む空が・・・。
広がる自然が・・・。
果てなく続く道が・・・。




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